実家から愛知に帰る前に上野の不忍池でボートに乗りました。
周りは高いビルに囲まれて、銀杏はすっかり黄金色に色づいて決してきれいとはいえない水面にゆられながら少し低い位置で東京の街を眺めるのはいい気分転換になります。

目線を変える。

気分転換というのは半ば強引にでもやらないといかん時があります。

第一段階の治療が終わった父は日の当たる窓辺で黙ったまま外をずっと眺めています。
何を考えているのやら…
苦しかった治療のこととか、
これからは始まる治療のこととか、
再発のことととか。

まあ、こんなとこかしらね。

四方八方白い壁に囲まれて、
ずっと点滴をうけて、
プラスチックの食器に入った病院食なんか食べていたら
そら、気もおかしくなるわな。

自宅に帰ってきたら食欲は出てきたみたいで口から栄養をきちんととっています。
いろんな本を読んで効果的な食材やら効果的な調理法など提案してみるものの、何十年も食べてきた母の手料理には及ばないらしく母の作ったなんの変哲もない(母ちゃんごめんね。)煮込みうどんを食べて一言。

おいしい。

と言った父。
父からその言葉を聞いたのはいつだったっけ?
気にもしてなかったからわかんないけど。

うれしかった。

「悪いわね。」と勝ち誇ったように私に言う母。

おみそれいたしました。


そうゆう考え方をするのはちょっと難しいかもしれないけど私は父に今、仮退院していて自分の家にいる時間を楽しんでほしい。そして、再入院したらそこでの入院生活も楽しんでほしい。予後、起きるすべてのことを楽しんで欲しい。
母にも今を楽しんで欲しい。
そばで看病している時間、父のいない家でひとり過ごす時間。
私たち姉妹はこんなにも両親のことを考える時間が持てたこと。
いままでは自分のことしか考えてなかったもんね。


不安で苦痛で大変なことがいっぱいなんだけど
そこはなんとか折り合いつけて適当にサクッと楽しんでいきたいと思うのです。